こんにちは。太田です。珍しく業務に追われ久しぶりにブログを書きます
前回の続きの住宅取得後の提案の2つ目の「居住用不動産の配偶者への2000万円贈与」のおすすめです。この特例はだいぶ昔からある制度ですが、相続後の売却依頼時に謄本などを見ると明らかにこの制度を利用された方が有利なのに使われていないケースが多い気がします。ご存知の方も多いかと思いますが、平成27年度に相続税の大幅改定が行われ、一部の資産家だけの相続税から一般の方もかかってくる相続税になりつつあり、この制度を有効に活用して少しでも多く奥様やのちのちのご子息に引き継げるよう財産を分散されるとよいです。住宅取得後すぐというものではありませんが、将来的に意識されるとよいと思います
◆制度の概要◆
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
◆適用要件◆
(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
注)同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
という制度ですが、同じ配偶者でなければ2回使ってもいいってことですよね誰かチャレンジしてみて下さい最低でも40年かかりますが・・・・
◆活用のケース◆
1.相続財産が明らかに多く、どちらかに偏っているケース
相続税の基礎控除が3000万円+600万円x法定相続人の数となっていますので、それ以上の財産がどちらかに偏っている場合は検討の余地がありますよね。また多額の生命保険(住宅ローン団信除く)などに入っている場合も検討の余地があるかもしれません。(ちなみに生命保険金の内、法定相続人x500万円までは非課税です。)自宅の場合は評価を軽減できますので、自宅以外に数千万円の現預金や別の不動産など持たれている場合はかかる可能性が高いかもしれません。住宅ローンの団体信用生命保険(通称団信)は受取人は金融機関なので相続財産にはなりません。
2.親子間や兄弟間で将来もめそうな場合も、事前に配偶者に贈与しておくのも有効だと思います。
実際に親子間で裁判したケースも耳にしました。相続後の遺産分割は相続人全員の合意が必要ですが、生前であれば贈与する配偶者の意思だけでできますので簡単でもめることもありません。また相続開始前3年間の生前贈与の対象からもこの特例ははずれますので、贈与を受けた段階で財産の分散が確定できます。
3.婚姻期間20年以上のご夫婦が、初めて住宅を取得するケースや、すでに自宅はあるが買い替えや、2件目の新居などを取得するようなケースでは新居の総額の中で自己資金の比率がかなり高い、または全額自己資金などのケースも多いので、最初から金銭の贈与(2000万円+基礎控除)を配偶者にしてしまってその金額に見合う持分を配偶者にするのもよいかと思います。細かいことを言えば取得後に贈与した方が、現金で贈与するより沢山持ち分が移せますが、登記料が2回必要になったり、手続き的なわずらわしさなども考慮すると取得時に現金で贈与してしまった方がスッキリするかと思われます。
◆注意事項◆
1.住宅ローンが残っている場合は、銀行の承諾なども必要となり抵当権も設定され、連帯債務者に追加されるなどのデメリットもありますので、住宅ローン完済後がベターです。
2.中古住宅などの場合は、土地のみ、または家屋のみ贈与することも可能ですが、家屋は年々評価が下がり、土地は一般的には評価額が上昇していきますので土地だけ、または土地を多くした方が効果的です。尚、贈与でも不動産取得税はかかりますので、築年数によっては一部建物も贈与した方がいいケースもあります。マンションの場合は、土地と建物を別々に贈与することはできませんので持ち分の贈与、または全部の贈与になります。
3.評価方法は、建物は固定資産税の評価額ですが、土地の評価は固定資産税評価額より高い評価(路線価)になります。時価よりは安いので、現預金で贈与するよりは不動産で贈与した方が低くなります。土地の評価もそんなに難しいものではありませんので、税務署などに聞かれてもよいかと思います。
4.特例の範囲内であれば、贈与税は課税されませんが、名義変更に伴う登記料と場合によって不動産取得税がかかります(推定併せて50万円程度)。ちなみに相続による取得による登記料の方が安いです。また相続による取得の場合は不動産取得税は課税されません。
●まとめ●
一般的に土地は過去の歴史では物価の上昇と同じように上がってきています。デフレ時代と言われている今でも若干ですが上昇しています。今後も中期、長期でみた場合評価額も上がっていくと予想されますので、贈与をした時の評価と相続の発生時の評価ではその価値は変わっていると思われますので、多少の出費(登記料など)にこだわらずに住宅ローンを完済したら、奥様に長年の感謝の意味も込めて自宅を特例の範囲内で贈与してあげて下さい
それではまた